地方都市育ちの女性が大阪へ嫁いで30年以上の歳月が経った。
老いた母親と同居の実家は弟夫婦が家業を継いでいる。
彼女の口ぶりではコロナ前までは子供たちも大きくなり自由にひとりのびのびと帰省していたらしい。
そんな様子がコロナで一変した・・・初めての年は弟から
「帰省は遠慮してほしい。田舎は都会からの帰省に神経質なので・・・」と。
2年目はワクチンも2回打ったので帰省する気満々で電話したら
「母親のデイサービスが都会からの帰省者があると自宅待機になるから遠慮してほしい・・・」と。
3年目の今夏は行動制限もないので問題なく帰省するつもりでいた女性。
するとなんと!母親から「帰らなくていい・・ここにはここの生活があるからね」
「コロナであんたが帰省しなくなってこの家は穏やかなんだよね」
「あんたが長居した後のここは大変だったんだよ!いつも!」
「確かに実家だけど代もかわって今は弟夫婦に世話になっている身だからね」
「姉面して気も使わない娘が帰った後のこと考えたことある?」
「歳取った私にとって肩身の狭い生活が続くのよ」
「せめてたっぷり土産でも小遣いでも渡してくれりゃ少しはマシなんだろうけど・・・」
「毎年土産の菓子だけ持って半月も居られたら私もかばいきれないわ・・・」
女性は母親にこんなこと言われるとは想像もしていなかった。
えらく不機嫌であるがこれが実家の現実。
帰省すると都会自慢が当たり前だったようで
「あんたが自慢する品物はインターネットでここでも買えるのよ」
「孫も嫁も家族中がピコピコやって好きな物が手に入るのよね」
「自慢するなら持ってこないとね・・・田舎を馬鹿にしないでほしいわ・・・」
「今では都会と田舎の差は物に限ればあんたが育った時代じゃないのよ」

おばあちゃんはよく言ったと思う。
かなりの覚悟でおばちゃんになった娘に言ったようだ。

実家への思いと母親への思いに嘘はないけど、気遣いは全くなかったようだ。
甥っ子、姪っ子、弟のお嫁さんにとって招かれざる客でしかないようです。
弟も、母親も、きっと今までに遠回しに言ってきたのかもしれないが
姉には届いていなかったのだろう・・・と。

実家の皆さんにとって、コロナはよい機会だったのだろう・・・
この家の平和のために・・・

この手の話は前々からどこにでもあった話だが、コロナで疎遠が長く続くとこれも現実なのです。